中小企業のシステム年間計画書は、エンジニア経験のない兼任システム担当さんが作ることも多いはず。頑張っ作ったのに、更新が漏れていたなどヒヤリとした人もいるのでは。そこでシス担のミカタでは、忘れがちなポイントも抑えた初心者用のシンプルな年間計画書の作り方を見ていきましょう。
システム年間計画書を作る目的をはっきりさせよう!
作る目的をはっきりさせるのは年間計画書の粒度を決めるためです。
東京証券取引所などに上場している企業であれば、IT統制が必要であり、内部監査や監査法人監査に耐え得る規定や台帳作成等も必要で計画書もかなり厳密になります。もちろん企業や上司の考え方があるとは思いますが、中小企業であればそこまでのものは必要ないと考えます。
中小企業のシステム担当者にとって必要な年間計画書の粒度は、漏れなく契約更新や買い替えができ、大まかな予算感がわかるものでいいと考えます。
裏目的として、上司に急に聞かれてもパッと答えられるカンニングペーパーを作るというのもあるかもしれません。
システム年間計画書のテンプレートを作ろう!
年間計画策定の目的がはっきりしたら、次は年間計画書のフォーマットを作りましょう。
エクセルで作ってもいいですし、テンプレートサイトから落として来るのでも十分です。日単位でも月単位でも年間スケジュールが書ければ問題ありません。ご自身で使いやすいものを選んでくださいね。
「テンプレート 年間スケジュール」で検索すれば大量に出てきますよ。試してみて下さい。
既存契約を書き出そう!
年間計画書のテンプレートができたら既に契約済みのサービスを書き出しましょう。ここではいきなり年間計画に落とし込むのではなく、まず洗い出すというのが重要です。
漏れなく洗い出すために有効なのが、経理担当者にシステム関連の一年分の支払明細を出してもらうということです。経理から支払明細を出してもらえれば金額の把握にもなるので大変便利です。
但し、経理でシステム関連でソートできない場合やそもそも協力してもらえない場合などは自力でやるしかありません。
ではシステム関連の既存契約にはどんなものがあるでしょうか?考えてみましょう。
ハードウェア関連
まずはハードウェア関連ですね。パソコンやサーバー、タブレット、経理が担当でなければスマホなどの保守費用があります。契約によりますが1年更新の場合は更新時期を書き出しましょう。パソコン管理台帳を作っておくと漏れにくくなりますよ。
これも担当になるかは会社によりますが、保守契約をしないかわりに物損保険に加入されている場合はその年度更新もあるかもしれません。
会社によってはレンタルしているものがあれば、その年度更新もあるかもしれません。確認してみて下さい。
ソフトウェア関連
毎年更新が必要なソフトウェアには、ウイルスバスターやESETなどのアンチウイルスソフトやサイボウズのようなグループウェア(スケジュールや備品管理、メーラーなどの統合サービス)、Office365やGoogle Workspace(旧 G Suite)、Adobeなど月額・年額で使用するサービス、クラウドサービスなどがあります。
担当になるかは会社によりますが、人事奉行や勘定奉行などの人事や経理ソフトの保守がある場合もあります。
オリジナルシステムを開発・運用している場合はその保守などもあるかもしれません。契約によるので確認して下さいね。
ネットワーク関連
ネットワーク関連で言えば、ファイアウォールやルーターを自社で購入している場合には保守を契約している場合があります。
そもそもネットワーク関連でのトラブル対応自体をネットワーク構築業者に依頼している場合は、年度更新があるかもしれません。
担当になるかは会社によりますが、PBX(複数電話機使用のための電話交換機)の保守などもあるかもしれません。
簡単なものでいいのでネットワーク図を作っておくと漏れがなくなりますし、トラブルの時に焦らずに済みますよ。ネットワーク構築時に構築業者が作ってくれていたりするので探してみてもいいかもしれません。
新規導入を書き出そう!
既存契約の書き出しが終わったら、新規導入関連を書き出していこう。経営計画書や社内カレンダーがある場合は、まず確認しよう。その上で将来システム関連で必要なものがあるかを各部署にヒアリングしよう。忘れがちなのが採用計画や退職者情報です。人が1人増えるだけでパソコンやスマホ、アンチウイルスソフトのライセンス、Officeなど準備することがたくさんあります。
次に買い替えが発生するものがないか見ていきましょう。
ハードウェア・ソフトウェア関係
まずパソコン、サーバーなどはOSやDBなどは、その脆弱性対応プログラムなどの配信がいつまで受けられるかがポイントとなります。
例えばWindows7の場合であれば既に配信を停止しており、セキュリティ上問題があるため、特に企業で使用するにはリスクが高いです。もうないと思いますが、Windows7のパソコンは、Windows10にアップデートするか、Windows10のパソコンに掛け替える必要があります。特にサーバーの場合、OSだけでなくWindowsSQL ServerなどのDBもいつまで配信があるのかも確認が必要です。継続使用する場合は買い替えが必要です。サーバーの場合は高額になることが多いため、計画的に買い替えする必要があります。もちろん筐体として問題があるや、ファンが壊れている等の物理故障も見ていく必要があります。
UPS(停電などの電源障害が発生した場合、安全にシャットダウンするための時間を稼いでくれるパソコンやサーバー用バッテリー)は、どうしてもバッテリーが劣化していくので一定期間で買い替えが発生します。急に劣化する場合もあるので定期的に劣化具合を確認することをお勧めします。
Microsoft Officeなどライセンス購入している場合は、OS等と同様にバージョンごとに脆弱性対応プログラムなどの配信期限が決まっているので、まとめて買っている場合は特にある年に大量に買い替えする必要が発生します。予算措置も必要なので注意が必要です。
ネットワーク関係
ファイアウォールやルーターは保守に期限がある場合があり、期限内に後継機などに買い替えが必要な場合があります。保守業者に確認しておくのもいいと思います。
忘れがちなのはハブやLAN線です。消耗品として割り切るでもいいですが、その場合は備品として在庫を持っておかないと地味に業務ができない事態になります。
月例アップデートやシステム研修の日程も盛り込もう
研修の場合は仮日でもいいので日程を組み入れておこう。WindowsUpdateなどの月例アップデートは年間計画に入れておけば、他の導入予定も組みやすくなるでしょう。
さいごに
ここまで情報を揃えたらシステム年間計画に落とし込んでいきましょう。
面倒に思うかもしれませんが、毎月しないといけないことが明確になり、仕事の効率が上がります。兼任も多い中小企業のシステム担当者にとっては日々時間が足りません。少しでも効率的に進めるためにもあった方がいいです。ヘルプデスクなど日々緊急対応しているため、漏れなく仕事をこなすためのも網羅性のあるものがあれば安心です。
今後も少しでもシステム担当者のミカタになれるように今後も実務に有益な情報を発信していきますのでよろしくお願いします。